ロシア雑感

サンクトペテルブルグ空港で一種異様な感じを覚えながら、入国審査をすませ

ホテルに向かう。チェックインして部屋に向かう通路にもロックされたドアがある。

宿泊者はパスポートを取り上げられ、その上外出時には、スーツケースに鍵を

かけるように言われる。サンクトペテルブルグからモスクワへの移動も真夜中

の飛行機、たどり着いたホテルはWブッキング、フロントは「 トライ・アゲイン」

「トライ・アゲイン」と言うばかりで対処しようとする気配もなく、ゲストを迎える

姿勢は見られない。

タクシーにメーターはなく、同じ距離で15ドル、10ドル、5ドル、3ドルとまちまちだ。

ホテルのレストランにもウェイターがトレーにふきんをかぶせて、琥珀やキャビアを

堂々と売りにくる。町中での買い物はルーブルのみで、換金所はあるが、売り子は

換算すら出きず、売る気も全く無い。

美術館やクレムリンなどの公共の建物のトイレも、中国に勝るとも劣らないしろもの

でした。

素晴らしいバレーを見せてもらったが、観客の椅子は4脚を木棒で打ちつけた粗末

なもので痛いし寒い。しかしバレーの水準は文句なく世界一。こうしたバレリーナに

なるには試験をうけ、3才から英才教育が始まる。頭が小さく、首が長く、小柄と

体格まで矯正するという。成長過程で条件が合わなくなれば、他へ転向せざるを

得ないので成功するのは100人中1人か2人だという。こうした予備軍の層は厚く

みごとな演技を見せてくれる。

しかし一方ではどの美術館にも、沢山の老婆がにこりともせず腰掛けて見張って

いる。これは年金の少ない人でここでの収入を、一緒に住む若い家族達の生計の

足しにするという。ちなみに年金額の多い男性は年をとってもこの職にはつけない。

モスクワなどで見かける子供たちは行き届いた服装をしている。親は希望の学校へ

入れるため家庭教師をつけるので、やみのお金を工面する。

「マルクス主義は不道徳、階級闘争を教え、人は敵であるとしてきた。」ラーゲリー

の全党、全国家、全国民が泥棒になって国をしゃぶりつくした「道徳の荒廃」を経て

ソ連邦の崩壊をみた今日、伝えられるニュースは国民には厳しいものばかり。

わずかな日数で、口はばったいことは言えないが、非物質的な豊かさを都会では

みることができなかった。一般の国民はどのようにこの混乱時を切り抜けていくの

だろうか。最近は国から建物を借りたり買ったりして、個人営業ができるようになり

さすがにこういう所では、公営と異なり接客態度も設備も格段の相違をみる。

目端の機をみるに敏なる人には行く道が、開けてくるのは何処の国でも同じなの

だろうか!!


ロシアのトップページへ戻る


「旅」のトップページへ戻る


ホームページへ戻る