レバノン


 
バールベック遺跡

 日本からは中東の何処へも直行便はなく、アジアを経由して行く。クアラルンプールはベイルートへ週1便マレーシア航空の直行便がある。乗り継ぎ便が少ないので、宿泊が必要になる。空港内にはシャワー付仮眠ベットの設備があって、3千円位で手軽に使用できる。こうした乗り継ぎ時間を入れると、日本を午前中に出発して翌朝ベイルートに到着し、そのまま観光へと向かうので体にはかなりきつい。

  長い内戦跡が旧市街の一部建物に残ってはいるもののベイルートの町並みは行き交う人々も活気に溢れ、大都会の風貌がみられた。子どもたちの服装も見慣れた日本の様子と変わらない。女性がベールを脱ぎ、第一線で働く姿を見て、ここもイスラム圏かと驚かされた。ここレバノンのガイドはアリサさん、5カ国語を話し、私達の質問にも英語のやりとりの方がわかり易いのではと気さくに応じてくれた。

 

10.中東雑感

 

 

 

 

 

 

 

 

シリア

 

パルミラ博物館前

 さてシリアへ入国するにはビザが必要で、これは日本で取得しないと現地では取れない。イスラエルと緊張関係にあるシリアだが、一般の旅行者には限りなくやさしい。国土の大部分が砂漠で遺跡はそこに散在する。パルミラを訪れたその日は異常気象でまれな暑さだった。大きなペットボトルを抱えたガイドのハナさんは、キリスト教徒だというが、イスラム教徒とも仲良しで見ていても微笑ましい。しかし、あまり女性や子ども達の姿を見かけない。たまに見かけてもペイルートの雰囲気のそれと大きな差を感じる。   ダマ スカスの印象はまた違って、イスラム圏の活気が溢れ、ベールの女性や子ども達にも行き交う。イスラム教徒もキリスト教徒も仲良しで旅行者を歓迎してくれる。ゆったりとしたアラブの時間を満喫できた。

 

 

ヨルダン

  ベドウィンと砂漠の国ヨルダン・ハシミテ王国の人々も素朴で親しみやすい国民性を随所で感じさせてくれた。大切に建物に囲まれたアインムーサ(モーゼ の泉)を見ると、砂漠ではどんなにか水が死活問題であったのかが偲ばれる。

  マダバの聖ジョージ教会で「古代パレスチナ地図」をみる。これはエレサレムを中心に159箇所の地名が230万個のモザイクで貼られ、エジプトから約束の地カナンへのモーゼの道を表した地図と考えられ、大変貴重なものである。保存状態もよく、勿論古代アラビア文字を使用している。

  聖書の世界に入りこんだような気持ちで、ネボ山に登り、カナンの地を望んだ。辿り着くことのなかった「約束の地」カナン(イスラエル)をモーゼはどんな思いで眺めたのか。実際この不毛の砂漠ヨルダンから眺めるイスラエルは、信仰を持たない私にも花園のある大地に見えた。以前から私は、三大宗教の発生の地と古代遺跡に興味があり、ここは訪れたい場所であった。もう言葉に出来ないほどに萬感せまる思いであった。

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  世界遺産のペトラ遺跡は岩山をくり抜いて巨大な建物群を造ったもの。このペトラには言葉もなく、只々圧巻されるばかりでした。

 

ペトラのシーク

  ペトラ周辺の物価はヨルダンの中でも高い。入り口では観光の馬に乗ることもできる。料金外のチップを何度もねだられる。2ドル位ときめたらそれ以上は出しても断っても良いようです。

 中に入って、きつい山道にかかると今度はロバの客引きが煩くやってくる。3ドルの契約をしたのに、3ドルではここまでと追加料金を取られたりしかねないという。5ドル位が妥当料金らしいので、ガイドに頼んで見つけて貰うほうが無難のようだ。ロバを利用した人に聞いた話では、人が登る石段を避けて、石がごろごろした脇道を登るので、体が変にゆれて乗っているのも楽でなかったとのことでした。自力で登る人も沢山いました。きついけど登ればエドデイルを見ると来た甲斐を感じるこどでしょう。

 はじめて観光づれと呼んでよいのか、こんな場面を見ましたが、働くところもない、こんな山間で生きるベドウィン達を仕方がないかなそう思えてきました。そんなことを吹き飛ばしてしまうほど、ペトラに来て良かったとみんな幸せに思えるのでした。 

 

  

 ヨルダンは今でも男女の交際が禁じられている。その中で大学のキャンパスだけは、唯一恋愛が許されている場所だという。

  ヨルダンには大学がなかったのでガイドのモハメットさんは外国で学んだという。そしてヨルダンのしきたりに沿った結婚をしたのかと尋ねるとそうしなかったと答えがかえってきた。

 今ではお金を外国に出したくないと、自国内に造られたのだと話してくれた。

 

   
 

 激動の歴史の中で、支配者の文化様式をうまく織り交ぜながら、キリスト教徒もムスリムも仲良く共存する。決して豊かだと言えない環境でも親切心を持ち合わせている。

 忙しく働きまわる日本人が、いや日本が、はたして、進歩していると言えるのだろうか。

 彼らアラブの持つ時の流れは外の世界と全く異なる。独特の雰囲気に浸るとこんなに遠くまできたのかと感傷てきな気分になる。

 ガイドさんが「また、是非来てください。今度はもっと良くなったヨルダンをお見せできますよ」という言葉を耳にしながら、来て良かった、とつくづく思える旅になりました。

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