中東の資料館2. 宗教 | |||
パルミラ 宗教について ★ユダヤ教 聖典「旧約聖書」イスラエルの民の先祖アブラハムが、前20世紀後半にメソポタミア地方からカナンの地と呼ばれるパレスチナ地方へ移住したところから始まる。 その後パレスチナに大飢饉が起こり、前1720年〜前1550年頃ヘブライ人(イスラエル人)の一部がエジプトに移住する。 しかし彼らはエジプトの圧政下で奴隷の扱いを受け、前13世紀に子孫7000人がモーゼに率いられて、エジプトを脱出し、パレスチナに帰国した。 帰国までの約40年間、砂漠での苦難に満ちた放浪が続く中、モーゼはシナイ山で神から「十戒」を授かった。ヤーウエ(キリスト教ではエホバ)の神がヘブライ人に与えた10の戒律(律法)である。 まずヤーウエを唯一の神として信仰することに始まり、刻んだ像を造ってはならない(偶像禁止)、6日働いて7日目は休息日とする(土曜日)、父と母を敬うこと、人を殺してはいけない、盗んではいけない、などだ。 . |
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ユダヤ教の特徴の一つは「ヤーウエを唯一絶対の神とすること」。 二つ目は「選民思想」モーゼの言葉に“あなたの神、主は全ての民のうちから、貴方を選んで自分の宝の民とされた”とあるように、自分達は神から選ばれた民であるとする思想。 三つ目は「契約思想」だ。その代表がモーゼの十戒であり、十戒を忠実に守れば恩恵が与えられると契約がされた。 もともとヘブライ民族は遊牧民であったため、最初ヤーウエの神は「荒野の戦いの神」であった。ここで“法律と道徳の神”となった。
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イエスはローマ支配時代のユダヤの国ガラリア地方で生まれた。 ヘロデ皇帝の没後、ローマは混乱期にあり、ユダヤの民衆の心は絶望の中にあった。 そんな時代の27年イエスは預言者ヨハネから洗礼を受け、弟子となり伝導活動を始めた。 イエスはメシア(救世主)運動を起こして、“最後の審判”が近いことを訴え、神の絶対愛と隣人愛を説いた。 イエスの説く神の愛は、ユダヤ教の選民主義や律法を超えた万民に対する大きな愛だった。 しかし、国や民衆の理解を得られず、ローマ皇帝の反逆者として、十字架の刑に処された。このことがキリストを売ったユダヤとしてヨーロッパで後年迫害されることになる。 . |
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イエスの弟子達の間には、イエスの復活(3日後に復活し、遺訓を残して40日後に昇天する)の信仰が起こった。聖典の「旧約聖書」に示された預言がイエスにおいて実現した。イエスこそ人類の救世主メシア(キリスト)であるとする人々が、エルサレムに教団を設立して、聖墳墓教会を建てた。後のカトリック教会の始まりだ。この頃から「新約聖書」が編集され、「旧約聖書」と共にキリスト教の教典となった。 ヨーロッパの伝導に最も貢献したのが、イエスの12人の使徒の1人パウロだ。シリア、アナトリア、キプロス島、ギリシャ、ローマへ伝導し、多くの都市に教会を建てた。 パウロは神の前ではユダヤ人も他の民族の人々も全て平等と説き、この解釈によってキリスト教は、異邦人にも受け入れ易いものとなり、やがてローマの国教ともなった。 「唯一の神への厳正な信仰」がシリアのキリスト教徒の一部の人々と、ユダヤの中に生き続けていく。そして同じセム民族アラビア人の「イスラム教」に受け継がれていくことになる。
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★イスラム教 ムハンマドはクライシュ部族のハーシム家に生まれた。幼少時代に弧児となり祖父が保護者となった。 ムハンマドが40歳の時、神の啓示を受けて、預言者となる。 アッラーは唯一の神、宇宙の創造主である。やがて最後の審判がきて、それまでアッラーの命令に服従して、善い行いをした者は天国に、悪い行いをした者は地獄に落とされる、というものだった。 イスラムという言葉は「帰依する」を意味し、信徒は「ムスリム(帰依する人)と 「唯一、至高のアッラーに絶対帰依し、その教えに従って生きること」を信条としている。 3大宗教はセム民族がつくり、共に宇宙を創造し支配している唯一神の“啓示”によって成立し、その啓示は天使を介して行われた。
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イスラム教はコーランを教典としている。コーランの教えの基本は正しい信仰の内容6項目「六信」と、その信仰を裏付ける正しい神への行為6つ「五行」からなる。 「六信」とは神、天使、啓典(コーラン)、使徒、来世(終末の日)、天命をいう。 「五行」の第1は、信仰を守ることであり、「アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」と唱えること。 第2は1日に5回の礼拝をすること。 第3は喜捨。 第4は断食(ラマダン) 第5は健康で経済的に余裕のある人のみに課せられるメッカへの巡礼だ。 イスラム教は、キリスト教の“万民は平等”の思想を受け入れた上で、教義はキリスト教よりも、現実的、合理的でわかり易い。 イスラムの人口は12億〜13億とも言われている。
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