ヤズド
イラン


マスジェデ・ジャーメ

 サーサーン朝時代のゾロアスター教神殿の跡地に、14〜15世紀にかけて建てられたヤズドのシンボル的な寺院。

 イランで最も高いというメナーレは建造された当時のままに現存し、空高く天を突き刺す。正面入口やドームのタイルワークも素晴らしく、イスラム建築の傑作の1つに数えられている。中庭には地下の貯水槽があり階段を降りて見学できる。

 アミール・チャフマーグのタキイェは15世紀に建てられた寺院、バザーレ、貯水池、キャラバンサライなどの複合施設。同名の広場を望む巨大な建物は、シーア派12イマームの3代目イマーム、ホセインゆかりの地。

 ホセインは預言者ムハンマドの孫に当る人物で、ユーフラテス川近くキャルバラーの野で、ウマイヤ軍に滅ぼされた。彼が殉教したモハッラムの月(イスラム暦の1月)には、ナフルは彼を悼む人々の黒い布や鏡などで覆われるという。


アーテシュキャデ 

  アーテシュキャデとは「火の家」という意味。建物自体が新しい故か、荘厳な印象はないが、前廊の柱など随所にペルセポリスの建築様式が取り入れられている。

 外壁の正面上部には「翼ある日輪」で表されたゾロアスター教の善の神、アフラ・マズダの像があり、ゾロアスター教寺院であることを物語っている。

 内部は簡単な博物館のようになっていて、開祖ゾロアスターの肖像画などが展示されているが、ここのメインはやはり聖火。ガラス越しながら、1500年前から絶やされたことが無いという聖火を見ることができる。

 ゾロアスター教はイラン人固有の宗教で、人類史上初の啓示宗教だ。現在のアフガニスタン北部と思われる地域に、紀元前15〜紀元前6世紀のある時期に生活したというゾロアスターによって始められた。極めて古い宗教。善霊と悪霊の二元論を述べ、人は自由意思で参加可能であるとした。


沈黙の塔

 ダフメイェ・ザルトシュティヤーンとは「ゾロアスター教徒の墓場」という意味。「ダフメ」とも言う。ゾロアスター教徒の遺体を葬る鳥葬(風葬)の場として、実際に使用されていた岩山の塔。1930年代、レザー・シャーが鳥葬を禁止、現在はゾロアスター教徒もイスラム教徒も土葬になった。

 沈黙の塔はヤズド市の南のサファーイイェ地区はずれの50mほどの丘に建つ、直径10mぐらいの円形の壁で囲まれたシンプルなスペース。石造りで外壁は泥で塗り固められている。

 ゾロアスター教徒は火、水、土を神聖なものとし、それらを汚すことになる火葬や土葬を嫌った。そのため、遺体を鳥葬場に安置し、ハゲタカやカラスが喰いつくして、自然に還す方法をとった。故に屋根がなく壁のみの塔。

 塔は男女別に2つ並んでいる。向かって右手の塔は高い位置にあるので、眺望はよいが塔の中へは入れない。

 

 

 
 


ゾロアスター教・ヤズド

 イランのほぼ中央に位置するヤズド。乾いた熱風と強烈な日差しが、肌につきささる典型的な砂漠都市だ。

 「沈黙の塔」への見学は、町から10kmほど離れているので、バスかタクシーを利用した方が便利。

 塔まで上がったり、麓の集落などを見学すれば2,3時間ぐらい予定した方がよい。周辺は何もなく、暑いので、午前中の早いうちか、日が傾いた頃を見計らった方がよさそう。

 売店などは皆無なので水は必携。塔への道は小石などがずり落ちて足場が悪いので、運動靴のたぐいで上った方がよさそう。ことに女性は着用物が多いのでちょっとした地獄の苦しみを味わう。

 あたりは電線などが派手に張り巡らされて興ざめだが、上がってしまえば気にならない。ヤズドの町も遠方に望めて眺めがよい。

 丘の麓には、対のバードギールを備えた貯水池、通夜などに使う集会場の廃墟、現在ゾロアスター教徒が土葬に使っている墓地がある。

 

 アケメネス朝、ササン朝時代に国教だったゾロアスター教の信徒が、今も尚ヤズドに住んでいる。(イラン全人口の1%)

 ゾロアスター教では死後4日間、その家族と親戚は肉食はしない。また葬式はイスラム教では、黒い服を着て大声で泣くが、ゾロアスター教では泣かない。死は神の側に行くことなので、悲しいことではないからだ。

 異教徒との結婚は許されない。イスラム教徒と結婚するときは、ゾロアスター教に改宗しなければならないが、イスラム教は改宗すると死刑になるので、実際には結婚出来ない。

 唯一神を信じる宗教なので、唯一の妻。離婚は不可。結婚式は派手で日本の名古屋のようだという。

 男性はアフラ・マズダに見られるように、全身白い洋服を着用している。女性は、イスラムの法律のため、チャドルを着るが、居住区では着用せず、カラフルな洋服を着ているという。

 ヘナに初めて出会いました。ヘナは豆のことだそうです。工場では緑の粉にして、日本にも輸出しているそうです。日本の美容院では、他のものとの調合を研究して、髪を整えています。白髪を染めるに向かないけど、髪にやさしいようで、私の家族も利用しているヘナがイラン産とは驚きました。

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